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 田楽男の小説
小説の背景と概略紹介
                     

  

  4.「西方体験録」 Back Number 保存庫

     

 

     

 

   「西方体験録」 

                          

       

 

 

 

 

       

 

 

 

 

 

はじめに

                       

        

             

                「海外に出かけるのに、女房を連れて くのは、どうかと思うね。弁当を持って、レストランに行くようなものじゃないか。現地のレストランで食事をするのが、旅のもう一つの楽しみだというのに」

 

 

これは、以前に私が勤めていた、S社のE社長から教わった比喩だが、食事が、単に食事を意味するのではなく、それが隠語であると発見した諸君は、賢明なるフェミニストである。また、それ相応の年頃になってくると、足腰に故障が生じて、出かけるのが億劫になる。従って、段々と視野も狭くなってくる。また、独りでは心配だと、どうしても二人連れになりやすい。

 

 

若い頃の勇気と好奇心に満ちた、西方での7つのトラベルを綴りながら、今後の糧としたい。今は2003年の10月時間を指している。さあ、いよいよタイム・トラベルの出発だ。

 

 

 

(1)プラハのエスカレーター

 

 

 古都プラハは、チェコスロバキアから分離独立し、西欧の自由主義社会に戻ったチェコ共和国の首都。ヨーロッパのいわゆる京都だ。1997年5月時間に着地。日本人の、京都詣でのように、ヨーロッパ人の多くが、古都プラハを目指す。今日も、異国の観光客で一杯。

 

 

また、別名「千の塔の町」ともいう。色んな時代の尖塔が、あたかも京都の五重ノ塔のように林立。ローマン、ロマネスク、ゴチック、ルネッサンスと、時代の特徴を示した尖塔が、ホテルの窓からも見渡せる。               

 

 

我々日本人には、種別が見分けられないが、彼らはそれを判別する。串差しダンゴを立てた、また餅の上に楊子を立てた、槍状に尖った様に見える、色んな種類の多くの尖塔が、遠くの方にまで霞んで立っているのが見える。

       

 

 河の名前は忘れたが、ホテルは大きな河沿いに立つ。ファサードが全面ガラス張りで超現代的な高層建築。それが、プラハ・ヒルトンホテル。レンガを積み上げて作られ、赤茶けた建物の街、古都プラハに、少しも似つかわしくない。今夜は、ここに宿泊する。ロビーは、ホテルの屋根まで届く、高い高い吹き抜けの広い大きな空間。

 

 

  また、大きな鉢植えの背の高い南洋植物が、雑然とした配置でたくさん置かれている。高い背バックの薄紫色をした品のいいソファーには、堂々とした体格の、派手な服装で、色んな顔つきをした西欧の老若男女が一杯。東洋人は、極めて少ない。

      

 

 さて今夜はプラハの下町で美味い料理をと、ホテルを後にする。200m位、歩くとすぐ地下鉄の入り口が見える。日本のどこにでもあるように、紙くずや食い物くずが散乱した、うす汚れた地下鉄の暗いエントランスが、口を開いている。そして、夕方も6時を過ぎたので、帰りを急ぐ勤め人達を、次々と吸い込む。

 

 

 乗り口に進むと、地の底から、ガラガラ、ゴロ・ゴロと何かの工場の様な大きな音がする。耳目が緊張。それは、エスカレータからの音だ。そして、少しの飾りっ気もない、うす汚れた、幅広のそのエスカレーターは、もの凄く速いスピードで回っているではないか。日本の3倍は速く、音が大きい。恐ろしい速さでプラットホームに向かって下っている。こわごわ飛び乗って、手すりを握る。下に着くまでには、長い長い時間が掛かる。まるで、地底王国に向かっているのかと錯覚さえする程である

 

 

あろう事か、勤め人達は、その速い速いエスカレーターのステップを、更に飛び段しながら下る。地下鉄駅のホームは暗く狭い、そして天井も低い。まるで穴蔵同然だ。また、電車の車内も暗く狭い。しかし、乗客の若い女性達は、服は粗末だが、ハッとするほど美しく、小柄で青い瞳の人が多い。 暗い地の底に咲く、青い花のようである。

 

 

その後の、プラハの食事の味は、どうだったかは、賢明な諸君の想像にお任せするとして、プラハ地下鉄の、このエスカレーターに乗った時程の、カルチャー・ショックは、未だ体験したことがない。

 

 

 

 

 

 

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