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Welcom to Essay by Dan !

2005年を素晴らしく、かつ

有意義にしたいと祈念いたします。

Hubble撮影のフォトン・ベルト実写画像です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   日記風エッセイ(32)
   







2005年12月4日(日曜日)

続々「土方、馬方、道具方」 


江戸時代ではなく、今は現在のことだ。田淵光男は、一匹狼の、プロ絵師兼道具方で生業を保っている。大道具として綱元も張るし、舞台に大変に詳しい。絵もピカ一で美しい。全部絵が頭に入っているから、仕上げも早い。大変な人物だ。無論、結婚しており、娘が一人いたが嫁に出したので、現在は妻と2人暮らしだという。この世界に入ってから初めて、私が知り合った人物だ。先般のこと、彼の方から、私に興味を持って近づいてきた。車の中での、彼の話を早速に聞いてみよう。


「『ねえーあなたー、ごぶさたじゃなーい。後生だから、久し振りに抱いて欲しいのよう、ねえあなたーア』とか言いやがってなあ、甘えた声で、水戸公演前の一昨日の夜もなあ、俺の布団に忍んできやがったが、俺は『冗談じゃねえーよ、何を考えてるんだ、てめえ。その気もねえから、おめえとはしたくもねえよ。とっとと出てって呉れ』って蹴ってやったのさ、ホントだぜ」彼は、いきなりヤバイ話から、こう切りだしてきた。「ええっ、それはチョットねえ、はあー」私もそうだが、彼等は一つの家で、もう別々の部屋で寝ているのだという。水戸市での公演が終わり、帰りのハイエースの車の中で、ウイスキーをチビチビ舐めながら、酔っぱらってきたのか、田淵の話が続く。


大道具を積んだ4tトラックが先を走っており、我々が後方から付いて東名高速道を走っている。深夜だから道路は空いており、120km前後は出して走れる。運転は、私と別の者との三人で順番に交代していく段取りだ。今は、静岡辺りを別の者が運転している。次は私の番だから、飲む訳にはいかない。田淵は、今回は運転手をしなくても良い方の番に、ラッキーにも当たっていた。


「俺はね、高校を中退してからこの道に入ったんだ。親父は俺が小学二年の時に死んで、その後暫くして、母親が男を作って出ていったから、仕方が無くてさあ、お婆ちゃんに育てられたんだ。もし身内がなかったら施設送りになるところだったんだぜ。おばあちゃんはな、京都で置屋をやってたんだよ。だからな、その世界のことは、俺は詳しいぜ。何でも教えてやるぜ」「へえー、そんなことがあったのですか。波乱の人生ですね・・・」


ますます饒舌になってきた。「俺はなあ、自民党は大嫌いだ。信用できるのは共産党しかいないぜ。それとな、宗教は仏教に限る。慈悲の宗教だろ、仏教は。仏様がこの世をお作りになったんだぜ、知ってるかい。オイ、お前はどうなんだ」「仏教は共通ですよ、あとはチョット」「なら許そう。話が合うじゃねえかよー、おいーっ」可成り廻ってきたようだ。


「お前はな、知らねえだろうが、女が道具方を今でも買いに来てるんだぜ、ホントだぜ。俺がそうだったから、事実だよ。何回も買われたぜ」もう一人の控えの運転手は寝ており、我々は一番後部座席にいたから、運転している者には聞こえない。ますます増長してくる。「俺が48歳の時だったよ。あいつは28歳で、ここのお囃子で太鼓を叩いていたんだぜ。知らねえだろうが、太鼓は飛び切りの美人じゃないと努まらないんだよ」「何故ですか」「考えてみろよー、おい。単純な道具じゃねえか、太鼓は。みんな顔で音を出しているのさ。美人が叩くと綺麗に聞こえるって訳さ、そうだろ」「成る程、確かにゾクッとするほどの美人揃いですね。黒の着物だから尚更感じますね、はい。それで、その人とは」「さあ、そこさ。20歳も年が違うだろ、俺はもうメロメロさ。相手も28歳で、したい盛だろ。あいつも好きだったから、もう足腰が立たない程だったぜ」「・・・・・・・・・、」


「あんな経験は今までになかったよ。舞台裏だから家内にもバレないしさ、だから5年も続いたよ。公演の時は必ずさ」田淵も絵師ながら、屈強な体格で、役者のように目が大きく印象的な面構えをしているが、ちょっと影のある感じだ。女性の方から誘ってきたという。「彼女が33の時になあ、親の強い勧めがあってさあ、あいつは人生清算を選択して、とうとう結婚することを決めたんだぜー。だから俺はキッパリと別れてやったのさ。どうだい、大したものだろ。今も時々顔を合わすのだが、それが辛くてさあー、今日も来ていた、あのお囃子の美人さんだよ。今日もお前に、色目を使っていたろーが、あの野郎うー、グフンっ」「ああ、あの人ですか、色っぽい方ですねー。そんなことがあったのですか。で、修羅場も無くて、よく何事もなく分かれられましたね。大人ですね、お二人共に」自分で持ってきたという、トリスのハーフ・ボトルは、最早空になっている。田淵の言葉にも抑揚が亡くなり、眼もトロン・トロンしている。そろそろ潮時だと思った。


時あたかも車は、トラックの後に続いて上郡のSAに入り、休憩と交代の時間が来た。次は私が運転手の番で、終点までぶっ飛ばすことになる。面白い話を聞いたので、頭も冴えてきて運転するのにも、ネタを練るのにも丁度良いと思って、車から降りた。


後日、棟梁から聞いた話では、田淵の描く絵は、関西では五指に入る程上手で、信頼が高いという。今は少し下がっているが、2間×1間の背景画で、手取り10万円は取るらしい。大体において、NHK、歌舞伎座、文楽座、遊園地、博物館、などの特命依頼の絵筆だけの仕事で、今でも月に150〜200万円は稼いでいる人物だというのだ。この話を聞いて、破天荒な生き方ではあるが、田淵の人生に素直さと人間らしさ、そして情熱的なものを感じた。だから、これは、寧ろ順序が逆で「道具方、馬方、土方」の方がこそ、正しいと思ったものだ。時あたかも、土木の大親分である建築士の、あってはならない不正が、腹立たしくも、この世の中を騒がしているではないか。





クョスコニョ    [1] 
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