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 田楽男の小説
小説の背景と概略紹介
                     

  

  8.「 傀  儡 」 Back Number 保存庫 

 

 

 

              

7.飛び入りの参加

 

 

 

 

 

福田は、田舎から出てきて、京都に来たのが初めてだったから、まだ京都タワーに登ったことがなかった。京都駅の市電の停留所から丁度北側に、白い色のお灯明の様な姿で、高く高くそびえ立っているタワーを、彼は見上げている。時間もあるし、折角来たから登ろうと考えていたのだ。それで、同室の相棒の誘いも断ったと言う訳だ。そして、市電の乗り場から降りて、駅前の大通りに出ようとしていた将にその時、誰かが福田を呼んでいる声に気づく。

 

 

 

 

 

「福田くーん。おーい。俺や俺や、玉谷や。福田くーん」

声のする方を見ると、小柄で黒縁の眼鏡を掛けた、あごの先がとがっている玉谷が、青の半袖シャツの手を大きく振って、福田を呼んでいるではないか。玉谷は、八瀬遊園地行きの市電乗り場に立っている。玉谷の横には、福田の知らないいずれも背丈が大きくない3人の男も立っている。比叡山の京都側麓にある八瀬遊園地、行きの市電は、京都駅の最も東側にあったから、寮生とは出合わなかった訳だ。

 

 

 

 

  福田が、駅前の道路をタワーの方に向けて歩いていたから、偶然にも玉谷の目に留まったのだろう。玉谷に近づいた福田は、玉谷の回りに女子学生らしい年の若い女性5人が、かたまりになって立っているのを見つける。直感的に、それが別の合ハイの集まりだと知る。

 

 

 

 

 

「玉谷君、どうしたんだい。あれ、君の用というのは、これだったのかい」

「そうなんや。この人が繊維学部の泉君や。僕の池田高校時代の友人なのだよ。彼が、京都女子大学の人との合ハイをアレンジして呉れていて、前々から約束してたんだよ。あと、この人が、繊維学部の、田中さんと、木村さん。こちらが、僕と同じ学科で、比叡寮に入っている福田英二君です。宜しく」

 

 

 

 

 

玉谷はそう言って、福田を集まっていた男連中にも紹介する。

「福田君、例の同志社女子大との合ハイは、ダメやったやろ。だから暇なんだろ。俺達の方に来ないかい」

「玉谷君、なんで知ってるんだい」

「そりゃそうさ、横山のアレンジだろ。僕は彼奴を全く信用していないのさ。最初から、絶対に嘘だと思っていたよ。だから、泉君の方に最初から決めていたのさ。どうだい当たったろ。僕が勧めたお詫びや、福田君、こっちに入れや」

 

 

 

 

「君は、さすが頭がいいねえ。そんな旨い話があるのかいなあ。勿論、僕は参加するよ。泉さん僕も入れて下さいよね。よろしいですか」

泉が言う。

「福田さんでしたっけ。予定していたのに僕の友人で欠員が一人出たのですよ。丁度ね、

相手が5人で当方が4人だから、後一人、男がいた方が、55で釣り合いが取れていいですから、是非一緒に参加して下さいよ、福田さん。寧ろ是非ご参加して呉れた方が助かりますよ。お願いしますよ」

 

 

 

 

 

  こういう偶然の重なり合いで、そして福田は合ハイに飛び入りで参加することになったという。 この女性グループの中に、将来福田の妻となる、荒木優子が偶然にも入っていたというのだ。

 

 

 

 

 

これらの偶然を筆者が整理すると、次のようになる。(1)福田が京都の大学も受験して合格したこと、そして(2)神戸でなく京都の方を選択したこと、(3)福田が寮に入っていたこと、(4)玉谷とも旅館以来の知り合いで、しかも同じ学生寮に入っていたこと、(5)横山の企画した合ハイに行ったこと、(6)彼だけが居残って京都タワーを見に行こうとしたこと、(7)玉谷が泉の企画した合ハイに参加していたこと、(8)玉谷が偶然にも福田の姿を見つけたこと、(9)泉のグループに欠員が出ていたこと、そして、(10)泉の企画した合ハイの日時と、横山が企画したそれの日時が微妙に重なっていたことである。

 

 

 

 

 

これらのいずれもの、どの一つが欠けていても、福田が優子に出会えることはなかったのである。鍵の、この10個のピンが丁度ピタッと合わさったのは、彼のまさしく命運である。そう考える以外に、説明が付かないのだ。諸君は、まずこのことを肝に銘じて、覚えておいて呉れ給え。

 

 

 

 

 

一方、福田は、改めて集まっていた女性6名を見る。その中に、一人だけ顎が出て西洋人のような風貌をした女性に、一瞬にして心を奪われる。背丈もその中では高い方だったし、目も大きくてぱっちりしていたから、福田の好みに合う。割と目立つ存在の女性であったと、彼は言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

            

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